すべての原発の即時停止を
2011年3月11日の福島第一原発の爆発事故は広大な範囲に放射線を撒き散らし,未曾有の深刻な影響を与えています。今なお高濃度汚染が続くフクシマでは,16万人もの人たちが家を捨て,故郷を離れ,不便な避難生活を余儀なくされています。フクシマに残っている人たちは不安を感じていないのでは決してありません。勤務先や経済的理由によって避難したくてもできないのです。毎日大きな不安に怯え,ストレスを抱えながら暮らしています。
放射線の恐ろしさは,人の細胞に作用し,遺伝子を変質させることです。 生物学者の柳澤桂子さんは,「いのちと放射能」というちくま文庫本の中で,「放射線はDNAに傷を付けたり,切断したりして,突然変異を引き起こします。その結果,細胞がガン化したり,奇形児が生まれます。また表面にあらわれないDNAの傷が子孫に伝えられますので,長い間に,生物の中にDNAの損傷が蓄積していく可能性があります。」とまとめておられます。
また,同書で現実に起こった悲惨なチェルノブイリ事故(1986年)の結果については,次のように記述しています。「2000年4月の事故14年目の追悼式で,ロシア副首相は,事故当時の現場処理に携わった86万人の作業員の内,5万5,000人以上が亡くなった事実を明らかにした。
20005年には,ロシアの社会保険発展相が,この事故で健康を題した人はロシアで145万人であると述べている。
2,006年4月現在,ロシア,ウクライナ,ベラルーシの健康被害者は700万人とされる。中でもこれらの国の子どもたちの白血病と甲状腺障害は悲惨なものである。
また事故後に生まれた18歳以下の子どもたちの中で,体内被曝によって健康を害している人は22万人いるという。
被害は年を経るにつれて大きくなるであろうし,そのうちに肝臓ガンなどの晩発性のガン患者があらわれるであろう。」
フクシマ原発事故はこのチェルノブイリ事故と同じくレベル7の事故だと格付けされています。どれくらいの被害が出るのか,誰も確実に予測することはできません。
ドイツでは,高度な科学技術を持っている日本でこのような大事故を起こした事態を重く見て,いち早く原発廃止に舵を切りました。所詮,人間の手では原子力を制御できず,事故を完全に防げないことを賢明にも見越して決断したわけです。
それなのに,肝腎の我が国では,信じられないことにな,おも推進する姿勢を示しています。前の民主党政権は口先だけでも2030年代にはゼロにすると言っていましたが,自民党安倍内閣は早々と推進を表明しています。
しかしながら, 安閑として52基もの原発をつくらせてしまった私たちは嘆いているばかりではいられません。この時代を生きた者の責任として,人類の未来に禍根を残す原発を無くさなければならないと思います。今まで何もしてこなかったくせに,という批判は甘んじて受けます。しかし,これだけの大事故を経験したのになおかつのん気に安全神話を信じて行くわけにはいかないではありませんか。過ちて改めるに憚るなかれ,です。
そういう思いを共有する1100名を超える人たちが,2012年11月29日,京都地方裁判所に大飯原発の差し止めを求める裁判を起こしました。訴状は別紙に掲載したとおりですので,ご覧下さい。
ご支援を切にお願いしたいと思います。と同時に弁護団では第2次,3次の訴訟提起を予定し,原告になる人を募集しています。是非ご参加下さい。参加を希望する方は当サイトでも結構ですが,京都脱原発弁護団ブログにアクセスして下さい。